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新規事業のデザインをする為に必要なマインドとスキルとは?
10/12に開催されたDesignship 2024にて「新規事業のデザインをする為に必要なマインドとスキルとは?」というテーマで登壇させていただきました。初日の登壇内容については、その他の記事は以下をご参照ください。
はじめてのDesignshipへの参加。何のお話をするか悩みました。「登壇者の自分自身のストーリー」というテーマがあり、ブランディングについて語ろうか、新規事業について語ろうか。悩んだ結果、私が入社してから感じた新規事業のデザインをするための思いやストーリを紹介しました。
私はいままでクリエイティブエージェンシーに所属していました。2023年の3月に多くの事業を束ねる会社であるレアゾン・ホールディングスに転職しました。
転職して感じたのは、ある程度は想定はしていましたが、制作会社(クリエイティブエージェンシー)と事業会社の違いです。同じデザインをする場合でも、制作会社で行うのと事業会社で行うのではだいぶん違います。自分自身が転職して感じたギャップや、学んだことをDesignshipでお話をさせていただきました。
以下が実際に登壇した資料になります。
自己紹介&レアゾンHDについて
みなさま、はじめまして、山口と申します。福岡から上京後、ブランディングに強いクリエイティエージェンシーに入社しました。社内ベンチャーとして映像とデザインを軸としたチームを立ち上げ、音楽、化粧品、ファッションを中心としてアートディレクションを行なってまいりました。受託の会社から、2023年に多種多様な事業を行うレアゾンホールディングスに入社しました。
私が所属するレアゾンホールディングスは、「世界一の企業へ」というビジョンをもとに、様々な事業を展開しているテックベンチャーです。ゲーム事業、広告事業、フードテック事業を中心に成長してまいりました。
私が所属するビジュアルコミュニケーションユニットは、ホールディングスの中のデザイン部です。業務内容は大きく分けて2つあります。全体のブランディングと、これから生まれようとしている新規事業のブランディング、サービスやプロダクトの立ち上げを行なっいます。
ホールディングス全体のブランディング、例えば会社案内、コーポレートサイト、オウンドメディアなどのWEBサイト制作、新規事業のブランディングでは、構想段階から入り、ビジネスチームと一緒に進めていきます。制作領域は多岐にわたっています。
レアゾン・ホールディングスは新規事業の立ち上げを得意とする企業です。
毎年、多くの新規事業が生まれています。
テレビプロデューサーの佐久間さんと共に運営しているノブロックTVなどを手掛けるコンテンツ事業、グローバルなマーケットシェアを狙っているドリンク事業、スマートトイレや給餌器などのペットテック事業、また、ロボットなどの開発を行っているR&D事業など、多種多様な新規事業が立ち上がっています。
マインドとスキルセットについて
今回、皆様にお話ししたいのは、新規事業をデザインするために必要なマインドとスキルについてです。新規事業にデザイナーとしてどう向き合っていくのか? デザインするためにどういうスキルが必要なのか? 新規事業の難しさ、自分自身がどう向き合っていったかを実体験をもとにお話しします。
なぜ、難しいと感じたのか?それは自分自身が歩んできたキャリアとのギャップです。
今までは制作会社、クライアントがいてそこから仕事を受ける受託制作を行う会社でした。転職してからは自ら事業開発を行う事業会社。
もちろん、想定はしてました。今までと大きく環境が変わるのですから。
ただ、想定していた以上にマインドやスキルにギャップを感じました。
マインドについて
マインドから説明をしたいと思います。今回ご紹介させていただくマインドは3つあります。
1:熱意について
新規事業を行う上で大事なのは、一つ目は熱意です。すごく当たり前の話ですが、熱意が必要です。ただ、自分が想像してた以上の熱意でした。
外の世界と中の世界では、やはりギャップがあります。
自分はキャンプが趣味なんですが、キャンプファイヤーを行う際に、遠くで見た炎は、赤く燃えているなという認識はできますが、炎の量まで判断するのは困難です。ですが近づいてみると、炎の激しさ、熱量を感じることができ、また、一歩近づくと今度は温度まで感じることができます。熱意も同じことが言えます。中に入ってみると、ヒリヒリする熱さまで感じることができます。
私のクリエイティブエージェンシー時代。仕事を受注すると、仕事を広げて、新しい仕事を作り、仕事を納品。そして新しい別の仕事へと向かうという流れが多かったように思えます。仕事を納品して飲みにいく、そんなエージェンシー時代でした。
それに対してレアゾンHDでは、新規事業の相談がきます。仕事を納品するところまでは同じですが、むしろここからが本番。すごく当たり前のことですが、事業を継続させて拡大させていくことが大事です。事業は終わりません、むしろ継続です。知ってはいるつもりでしたが、中と外では見える景色が違いました。仕事を終わらせるという感覚ではなく、仕事を事業を継続させ拡大していく努力が必要です。
一緒に並走してやっていくには、相当な覚悟をもって挑まなければいけないと強く感じました。事業責任者は熱い思いでやっています。その思いに応える必要があります。生半可な気持ちでは挑めないと、思い知りました。
2:正解はない?
2つ目の新規事業のデザインを行う上で必要なマインドは「正解はない」です
新規事業が立ち上がる際にペルソナを立て、仮説を繰り返し、検証に検証を重ね、ストーリーを作り、ユーザーインタビューを行い、アウトプットを行う。その結果が、正しいのかどうかは、わからないのです。何ヶ月もかけたものが正しいのかどうかなんて、出してみないと誰もわからないのです。なぜなら、新規事業ですから。答えなんて誰ももってないんです。1日で考えたものが意外と大ヒットなんてことはよくあることなのです。
ただし、だからといって1日で考えるものではなく、「自分がどうしたいのか?」考えて、考えて、絞り切って出した上での答えが大事です。自問自答を繰り返す。大事な決断を人に委ねるのではなく、自分を信じて舵をきる。正解はないんですから。デザインに対しての自分の感度を信じることです。
3:完璧を求めない
3つ目のマインドは完璧を求めない
デザイナーは完璧を求めがちです。自分もそうです。特に今までクライアントワークを中心にやってまいりましたので、最初から良いものを作りたいという思いが強くあります。ただ、新規事業では、最初から完璧というよりは、徐々にアップデートされていくものです。いきなり完璧を目指すのではなく、アップデートしていくこの感覚が大事だなと感じています。
スキルについて
次に新規事業をデザインするために必要なスキルについてお話しいたします。どういうスキルが必要なのでしょうか?
人は意識したものしか見れない
1つ目はビジネス視点のデザイン力。新規事業ではとくに、ビジネス視点のデザイン力が必要だと感じます。
日々の仕事の中と生活の中でそれぞれを身につけていきます。デザイン力は業務の中でも数をこなしていけば身につくかと思います。では、観察力、分析力はどうでしょうか?
人は意識したものしか見れません。
世の中にはたくさんののものや情報が溢れており、意識しようとしたものしか見ることができません。
例えば砂漠の何もない場所に青い鳥がいたらその鳥に気付いて見ることができます。
人もモノも情報も多い東京の街を歩いていてそのどこかに青い鳥が紛れていてももはや気付くことは難しいでしょう。
ただし、青い鳥を見るぞ!と意識してた人なら見つけることができる可能性が高く、さらに青い鳥をさらに見ていくと、より深いディテールに気づくことができます。
集めたデータや情報を自分なりに解釈し、その情報を使って考えることが分析であり、それをデザインに落とし込むことこそが、ビジネス視点のデザイン力です。新規事業においてはビジネス視点のデザイン力がより必要になってきます。
不安を払拭するビジュアルライズ
2つ目はビジュアライズです。
新規事業や何か新しく始めるタイミングでは、早めの段階でビジュアル化することが大事だと感じました。ターゲットやペルソナ、ユーザーストーリー、インタビューなど早めの段階で議論がされますが、ビジュアルは後に回さられることがあります。UXデザインの5段階でも最後にデザイン部分は語られることが多いかと思います。
ですが、新規事業においては、まずは形にすることが必要です。
新規事業においては、同じ方向を向いているかもなかなか、わからない状況です。何もない、何も見えないって不安じゃないでしょうか?ですが、キービジュアルを作ることで、同じ方向を向くことができます。少なくとも議論をすることができます。
それはDesignshipにおける、私たちのブースもそうです。今回、コンセプトをカフェにしました。最初にスタッフに伝えたのが以下です。
文字で伝えるよりも、ビジュアル化することで、より物事が前へと進みます。
どうでしょうか?ロゴを作ってビジュアルになることで、わくわくしませんでしょうか?今から楽しいことがはじまりそうな、物事が進んでいくような予感がしませんか?ビジュアライズにはそういう力があります。人の意思を変える力があります。
今回、皆様にお話ししたいのは、新規事業をデザインするために必要なマインドとスキルについてでした。私たちは世界一の企業というビジョンを持って、新規事業を生み出していきたいと思っています。以上で私の話は終わります。ご清聴ありがとうございました。
まとめ
レアゾン・ホールディングスは多くの新規事業が生まれる文化があり、私たちの部署でも多くの新規事業に関わっています。今でも毎日が新しい発見がありますし、難しいと感じることも多いです。ですが同時に自分自身の成長も感じています。
レアゾン・ホールディングスは対外的にあまり表舞台に出ることが少なく、こういう活動を行なっていなかったので、今回は自分たちの会社を知ってもらう良い機会になったのではないかと思っています。
また、登壇後に多くの方と話をさせていただき、
今回、このような機会を頂き本当にありがとうございました。
以上、資料の共有でしたー。