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はじめに
ダークモードは、視覚的な快適さを向上させ、エネルギー消費を抑えつつ、現代的な外観を提供することで、多くのアプリやウェブサイトで人気を集めています。ちょうど最近Appのダークモードのデザインや開発を行っているため、こちらでダークモードの魅力について語ればと思います
Twitter(現在のX)は、このダークモードUIデザインのトレンドを牽引したパイオニアの1つです。同社は2016年にダークモード機能をリリースし、現在でもユーザーは自由にライトモードとダークモードを切り替えることが可能です。XやAdobe Creative Suite、Spotifyなどのアプリは、インターフェイスにダークカラーパレットを採用することで長年親しまれてきました。このデザインスタイルは、特に視認性の向上や目の疲労軽減といった利点が評価されています。
しかし、2019年にAndroid 10とiOS 13の標準機能としてダークモードが導入されたことにより、このスタイルは爆発的な人気を博し、UIデザインの主流トレンドとして広がりました。
ナイトフレンドリーなデザインとは?
ダークモードは、主に暗い色調やグレーを基調としたインターフェースデザインのスタイルで、夜間や薄暗い環境での使用を考慮して設計されています。このスタイルは「ナイトフレンドリー」と呼ばれる理由があり、それは暗い色が光を反射する量を抑え、目に優しい使用環境を提供する点にあります。例えば、明るい環境下では白や明るい背景が視認性を高めますが、暗い環境下では光量を抑えたダークモードが目の疲労を軽減します。
ダークモードの利便性と進化
多くのアプリやウェブサイトでダークモードは、単なるデザインの一形態ではなく、標準機能として取り入れられています。特に低照度環境で明るい画面に疲れた目には、ダークモードが救いとなるでしょう。Twitter(現在は「X」)は、このトレンドをリードした存在であり、2016年にダークモードを実装しました。以降、ユーザーはいつでも「ライトテーマ」から「ダークテーマ」へ切り替えられる柔軟性を享受しています。
プロフェッショナルな視点からの考察
ダークモードは単なる色彩変更ではなく、視覚疲労の軽減やバッテリー消費の抑制(OLEDディスプレイでは特に顕著)といった実用的な利点を提供しています。さらに、このスタイルはUIデザインにおける「アクセシビリティ」向上の一環と捉えることもできます。近年、多くのデジタル製品で「ユーザー中心設計(UCD)」が進む中、ダークモードはUXデザインの新たな基準として確立されつつあります。デザインプロセスでは、コントラスト比や可読性を考慮し、暗い背景でも情報が見やすくなるようにすることが鍵となります。
1. 純黒=ダークモードではない
アプリやウェブサイトのUIに純粋な黒(ピュアブラック)を背景として使用するのは推奨されません。純黒の背景に白い文字を配置すると、コントラストが強すぎて目に大きな負担をかける可能性があります。Googleのデザインチームでは、代わりに「Cod Gray」(カラーコード: #121212)を使用することを推奨しています。これは目に優しく、快適なユーザーエクスペリエンスを提供します。RGBカラーモデルにおいて、純粋な黒色は「#000000」と呼ばれます。これは、赤、緑、青の成分がそれぞれ0%であるためです。一方、色コード「#121212」は、赤7%、緑7%、青7%を含んでおり、これが暗いグレー(コッドグレー)に見える理由です。
「#121212」は純粋な黒色に比べて、UI要素のコントラストを控えめに提供します。この色を使用したインターフェースは、より洗練された印象を与え、目にも優しい印象を与えます。
2. 過度な彩度を避ける
明るい彩度の高い色を使用したデザイン要素は、明るい背景の上で目立ちますが、黒い背景ではさらに強調されます。明るい背景で目立つデザインはユーザーエクスペリエンスに適していますが、黒い背景では視認性が損なわれ、逆に使いづらさを引き起こす可能性があります。
例えば、明るい色のデザインは視覚的に魅力的でインタラクションを促進しますが、暗い背景で使用する場合は過度に強調され、疲れやストレスを感じることがあります。明確なコントラストを持たせることが大切です。右側に表示されている「Calls」というデザイン要素が、左側の過度に飽和したバージョンに比べて、視覚的により心地よいことに気づきましたか? 色の鮮やかさが控えめで、彩度が低い色は、特にダークな背景のインターフェースでは、読みやすさを向上させるために非常に効果的です。
インターフェースデザインにおいて、彩度の低い色は、コントラストを調整することで視認性を高めるのに役立ちます。暗い背景上での色使いは、ユーザーの視覚的疲労を避け、情報を素早く理解できるようにします。特に、ユーザーが長時間デバイスを使用する際には、目の負担を軽減するために色の選択が重要です。
ダークモードデザインにおいては、文字やボタンなどのインタラクティブ要素に対して、あまりにも鮮やかな色を使うと、逆に目立ちすぎてしまい、視覚的な過剰刺激を引き起こす可能性があります。したがって、背景の暗さに対して適切な彩度を選ぶことが重要です。
3. 純白色は控える
明るい白色のデザイン要素は、ダークモードUIで過剰に輝き、視覚的に煩わしい効果を引き起こすことがあります。そのため、テキストフォントやデザイン要素には、少し控えめな白色を使用するカラーパレットを選ぶことをお勧めします。
4. カラースキームの反転だけでは不十分
アプリやウェブサイトのライトモードデザインがすでにある場合、単純に色を反転させるだけでは適切なダークモードにはなりません。ユーザーに快適なUIを提供するためには、ダークモード専用のデザイン戦略や配色を個別に設計する必要があります。
5. 影を使わずに奥行きを表現する方法
通常のライトモードのUIデザインでは、デザイナーは微妙な影を利用して奥行きや視覚的な階層構造を表現します。しかし、ダークモードのUIデザインでは、影が目立たないため、この手法は適正ではありません。
ダークモードで奥行きや階層構造を表現するためには、他の手法を採用する必要があります。例えば、特定の要素をより高く見せたい場合は、明るい色の塗りを使用する方法が効果的です。以下は、ダークモードUIデザインにおける明るい色合いを活用して奥行きを表現する一例です。
まとめ
「ダークモード」は単なる流行ではなく、デザインとユーザー体験の革新を象徴する要素です。現在ほとんどの人気アプリ、ウェブサイト、オペレーティングシステムに欠かせない機能となっています。そのため、現代のUIデザイナーにとって「ダークサイド」に足を踏み入れる技術は必須です。
デザインする際に、ダークモードにおける色彩やコントラストの最適化、テキストの視認性の向上、そして全体的なビジュアルのバランスを考慮しながら、ユーザーにとって快適な体験を提供する必要がありますo(^-^)o