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2025年1月にオフラインでインターンシップを実施しました。2日間にわたって開催し、その中で学生の皆さんに向けて行った講義を公開します。講義テーマは「デザイナーになる上で最も大事なこと」です。
「デザイナーになる上で最も大事なこと」
「デザイナーになる上で最も大事なこと」は何でしょうか?
次に出てくる絵が何の絵か、想像してみてください。

どこかの島? 帽子? さまざまな答えが出ました。
答えは「ゾウを飲み込んだ大蛇」です。この話を知っている方も多いのではないでしょうか?『星の王子さま』の有名なシーンです。
物語の中で、作者が子どもの頃に描いた自信作の絵として登場します。ジャングルの冒険を想像しながら描いた「象を飲み込んだ大蛇」。それを大人に見せたところ、「どうして帽子が怖いの?」と言われ、主人公はがっかりしてしまいます。
目に映るものだけが真実ではありません
・想像することを放棄しないこと
・固定概念を捨てること
この考え方こそ、デザイナーにとって大切な資質です。
デザイナーに最も必要な能力は「想像力」
私が考える、デザイナーに最も必要な能力は「想像力」です。サービス設計もブランディングも、すべて想像することから始まります。
感情、未来、シーン、体験、課題、社会を想像することで、私たちデザイナーはストーリーボードやコンセプトをつなげていきます。
学生のうちにやっておきたい「想像力を活性化する7つの方法」
想像力を身につけるには時間がかかります。一日でマスターできるものではなく、時間をかけて醸成されていくものです。学生のうちから意識して取り組むことで、社会に出たときに大いに役立ちます。そこで、想像力を活性化するための7つの方法を紹介しました。
想像力を活性化する7つの方法
01.好奇心を持つ
02.観察する
03.知識を蓄える
04.シーンをつくる
05.視点を変える
06.固定観念を捨てる
07.コミュニケーションをとる
01.好奇心を持つ
趣味、旅行、イベントなど、未経験のことに積極的に飛び込むことが大切です。
新しいことに前向きに取り組み、好奇心を習慣化することで、デザイン感度を高められます。例えばXやInstagramのデザイン関係者をフォローすることでデザインの習慣化することができます。興味のあるタイムラインと無作為に見るタイムラインを分けることをおすすめします。タイムラインを切り替えることで思考自体を切り替えることができます。普段からスイッチの切替を意識すると、より好奇心を発見しやすくなります。
02.観察する
デッサンのように、観察することから始めることが重要です。意識しないと見過ごしてしまいますが、観察することで想像力に深みが増します。
例えば、砂漠の中で青い鳥を見つけようと思えば簡単に見つかるかもしれません。周りに何も無い中では青い鳥は目立ちますから。
では、情報や人に溢れる街の中ではどうでしょうか?なかなか見つけることが出来ないのではないでしょうか?
ただ、最初から青い鳥を探そう!と決めて探せば見つかる可能性があります。人は意識したものしか見ることができません。普段から観察し、意識することが大事です。デザイナーを目指すのであれば、一つ一つを意識して見てください。
03.知識を蓄える
日常的に観察したものを意識して記録・収集してください。
私自身も、多くのデザインをストックしております。
たとえば、Pinterestでデザインをカテゴライズして収集したり、街中で見かける冊子やDM、パッケージ、紙袋など、さまざまなものを集めています。
04. シーンをつくる
頭の中で考えるだけではなく、実際のシーンにて考えることでアウトプットに大きな違いが現れます。たとえば、フードデリバリーアプリのデザインを考える際、実際に「昼ご飯を抜いたお腹が空いた状況」で考えるのと、「お腹が空いた状況を想像して」考えるのではアウトプットに違いがでます。実際のシーンを作って体験することで、より豊かな発想が得られます。現場を感じてください。
05. 視点を変える
物事を考えるとき、さまざまな視点を取り入れる癖をつけることが重要です。時間軸、対象となる人、立場、スケール、文化、場所、さらには逆の視点や架空の人物、別業界の視点など、視点を変えることで想像力が広がります。
たとえば、
スターバックスが車を作ったらどうなるでしょうか?
無印良品が車を作ったら?
スティーブ・ジョブズがカフェを作ったら?
こうした視点の切り替えが、新たな発想を生み出す鍵となります。
ペットショップ「ペッツファースト」のカレンダー
事例として出したのが全国にペットショップを展開するペッツファースト。
一般的にペットのカレンダーといえば、元気で明るい楽しいカレンダーを想像すると思いますし、世の中に出ている多くのカレンダーがそういうカレンダーだと思います。
では、逆側の視点を入れます。実際に制作されたカレンダーはいつもと違う、キリッとしたワンちゃん達をスタジオで撮影し、スタイリッシュなカレンダーに。この「逆の視点」が話題性や注目を集める要因となりました。
ただし、ここで大切なのは、「王道があってこその逆側の視点。変化球が活きる」という点です。王道を踏まえた上での発想の転換が必要です。
今度は「ペッツファーストが手掛ける動物病院」。
ペッツファーストといえばこのワンちゃんの看板です。店舗に行けば全国どこでも飾られています。ペッツファーストのシンボルです。
ペッツファーストが手掛ける動物病院。これは王道であるシンボルを使ってデザインしました。街の看板と合わせたほうが認識されやすいと考えました。こちらは王道でのデザインです。
レアゾンHDのハッカソン「GIFTech」
ハッカソンイベントを行う「GIFTech」。最初に私たちはエンジニア像のイメージとして孤高のイメージで黙々とプログラミングを行う、そんなイメージでいました。誰もが憧れるようなクールなコミュニケーションを想像しました。
ロゴデザインもクールでスタイリッシュなものを制作しました。
ですが、GIFTechが目指すのは、0→1を作る、今までのエンジニアとは違う新しいエンジニア象です。GIFTechのハッカソンではデザイナーやプランナーと一緒に共創してモノ創りを行います。それは今までのイメージとは真逆なのでは?
そうやって生まれたのがこのロゴです。「逆の視点」で考えました。
親しみ感のあり、一体感があり、爽やかなロゴデザインです。
シンプルなタイポグラフィで構成しています。
06. 固定概念を捨てる
ルールや固定概念にとらわれず、「なぜ?」「どうして?」と問い続けることで、思考や感性が刺激され、想像力が高まります。
たとえば、Webサイトを作ることがスタートだと決めず、本当に必要なものは何かを考えると、場合によってはWebサイトではなく、アニメ制作など他の手段が適しているかもしれません。固定観念を捨てることで面白いアウトプットが創造されます。いつもと同じ道を通るのではなく、意図的に別の道を歩くことが新しい発見に出会えます。
07. コミュニケーションをとる
自分だけの想像力に頼るのではなく、他者との対話を通じて新たな発想を得ることが大切です。雑談を重ねる中で、思わぬアイデアが生まれることもあります。誰かと壁打ちを行ってください。同じデザイナーでも同級生でも。おすすめは同じ人と壁打ちをするのではなく、メンバーを変えることでまた違った視点が生まれます。色んな人とコミュニケーションを積極的に取ってください。メンバーを固定しないでください。
まとめ
今回のインターンシップでは、デザイナーにとって最も大事な能力「想像力」についてお話ししました。想像力を鍛えることで、より深いデザインを生み出せると考えています。
インターンシップに参加していただいた皆さん、ありがとうございました!